
母の日や父の日、誕生日に卒業式など、日本には「ありがとう」を伝える場面がたくさんあります。
「ありがとう」は日々の暮らしの中でも、自然と口にすることの多い言葉。
実は、私たちがこの言葉に込めているのは、感謝だけではありません。
今回は、「ありがとう」という言葉が持つ深い意味を、改めて考えます。
目次
ありがとうが伝えるのは「感謝」だけじゃない

感謝の気持ちを伝える「ありがとう」という言葉。
日本では、感謝以外のさまざまな気持ちを込めて使われることも、少なくありません。
感情をはっきり表現するのが得意とは言えない私たち日本人にとって、「ありがとう」が大切な理由や、言葉に込められた意味をふり返ってみましょう。
▶︎ ありがとうは「大好き・愛している」の意味を持つ
例えば、子どもに「生まれてきてくれてありがとう」と伝えるとき。
そこには「あなたが大好き」「いてくれてうれしい」という深い愛情が込められています。
パートナーに「毎日がんばってくれてありがとう」と声をかけるときも、 「あなたの存在を大切に思っている」という愛が自然とにじみ出るものです。
また、親に「育ててくれてありがとう」と伝える場面も同じ。
「ありがとう」という言葉には、感謝だけでなく、敬意や親しみが含まれているはずです。
このように、私たちが改まって言うのは照れくさいと感じる「大好き」や「愛している」を、自然に伝えられるのが「ありがとう」という言葉なのです。
▶︎ ありがとうは「承認」の言葉でもある
「ありがとう」は、「ちゃんと見ているよ」「あなたは大切な存在だよ」という、承認の言葉でもあります。
子育てでは、日常の中で子どもにかける「ありがとう」が、子どもの行動や存在そのものを認めるメッセージ。
親からの「ありがとう」の積み重ねは、子どもの中に「自分には価値がある」という感覚を育てます。
そしてその感覚が、子どもの自己肯定感や自信の土台になっていくのです。
さらに、こうしたやりとりの中で、親子の間の信頼関係が深まり、より強い絆も育まれていくでしょう。
▶︎ ありがとうが「さようなら」の意味を持つとき
実は「ありがとう」は、「さようなら」の意味で使われるケースが少なくありません。
例えば、友だちと別れるときに「今日はありがとう、またね」と言うことがありますよね。
卒業式や式典でも、「これまで、ありがとうございました」と、感謝とともに別れを伝えるケースが多くあります。
また、看取りのシーンでも「ありがとう」の言葉で、最後のお別れを告げる人もいます。
日本語の「さようなら」は、どこか改まった響きがあり、直接的で強く感じられる言葉です。
「ありがとう」に言い換えることで、私たちは柔らかく、優しく別れを伝えていると言えるでしょう。
子どもを「ありがとう」と言える子に育てるには?

「ありがとう」という言葉、子どもにも自然に使えるようになって欲しいですよね。
では、ありがとうと言える子に育てるためには、どうすればいいのでしょうか。
一番大切なのは、親が普段から子どもにたくさん「ありがとう」を伝えることです。
感謝の言葉が日常にある中で育った子は、「ありがとう」を交わす生活が当たり前となり、人に対しても自然と感謝を伝えられるようになります。
お手伝いをしたとき、がんばりが見られたとき、話をしてくれたとき…、日々の何気ないシーンで、たくさんの「ありがとう」を言ってあげてください。
「ありがとう」と言える親が、何よりのお手本となって、「ありがとう」を言える子を育てていきます。
まとめ

「ありがとう」は、日本語の中でも、たくさんの意味を持つ特別な言葉です。
「大好きだよ」「愛している」「さようなら」…、さまざまな気持ちを、柔らかく伝えてくれるたった5文字の魔法みたいな言葉。
今日も、あなたのそばにいる大切な人に、たくさんの「ありがとう」を伝えられるといいですね。